千葉ふみ子様|震災から15年に寄せたメッセージ

千葉ふみ子 様 元 気仙沼市立津谷保育所 所長|宮城県気仙沼市

震災のときのこと

震災が起こる2日前にも大きな地震がありました。その日は年長組のお別れ遠足(大谷海岸)がありました。その時は津波の心配はありませんでしたが、安全を第一にレストランの会食を中止にして帰ってきました。

それから3月11日午後2時46分マグニチュード9.0最大震度7の巨大地震が起きました。私はいろいろな報告をするため、約18キロ離れた気仙沼市役所こども家庭課に出かけておりました。その帰り保育の物品を購入するためホームセンターに立ち寄った時地震に遭遇しました。すぐ外へ出ました。店のガラスが割れたり駐車している車が動いたりするような状況でしたが、とにかくこども達が心配で早く帰らなければと国道45号線を急いで走りました。途中で渋滞が起こったため山沿い方面の農道を通って保育所に辿り着くことができました。あのまま国道45号線にいたら津波に巻き込まれていたことでしょう。

すでにお迎えに来た保護者の方に安全に帰宅できるか確認しながら引き渡しを行っていました。数名のこども達や帰宅に不安なお家の方々と職員と総勢30名ほどで電気もストーブもない保育所に待機しておりました。(所長の私としてはとても不安でした)
夕方に地域の方でもある元 津谷保育所長さんが自治会館に避難するよう配慮してくださいました。暗闇の中の移動でしたが空を見上げたらみぞれが降っていたのに星が光っていたのを今でも覚えています。

保育所が再開できたのは4月下旬になってからでした。前年度のこども達の退所式3日後に入所式を行いました。給食は避難食のごはんやパンなどで何とか提供できましたが水道が使えず飲料水は支援物資のペットボトル使用水は水道事業所から毎日給水してもらいました。
一番大変だったのはトイレでした。下水道が使えなかったので紙おむつを利用してトイレに敷きその都度捨てるようにしました。

スターリィマンとの出会い

2011年8月4日に、初めて津谷保育所に来ていただきました。スターリィマンの絵と物語と朗読と歌は初めて体験する感覚で、他の先生方もそうでしたが、その時に初めて「あぁ疲れていたんだな」と気づくことができました。私自身、目の前のことで精一杯だった中、現実から離れることができ「癒された」という気持ちが大きかったです。

それから、気仙沼に何度も何度も来ていただき他の施設にもたくさんの愛情や希望、勇気や元気をいただきました。本当に心から感謝しております。

震災を通して

震災の時は当保育所では、家族が迎えに来たら安全を確認して引き渡しを行っていましたが、現在はすぐに引き渡しはせず安全が確認されてから一斉メールでお知らせするように変わりました。震災後、防災計画の見直しをできることから即実行することとしました。例えば職員全員で地域の実態を地図を見ながら歩いて確認する。保育参観を設け親子で避難経路を歩くこともしました。

また市全体で行う「気仙沼市津波総合防災訓練」が例年行われるようになりました。また地区の方でも独自に防災訓練を行うようになり、新しく地域に住まわれた方々の住所と名前と家族構成や顔を認識することができ、よい機会になりました。

シミレーションだけでなく、実際にやってみると色々と改善点も出てきて、今後どうしたら良いか話し合うきっかけも生まれるのでいい機会になっています。このように「命を守る」ための様々な取り組みが行われています。

15年となる今、思うこと

震災が近づくとフラッシュバックが起こり、心の病になってしまう方も多くいらっしゃいます。私も15年たった今だからこそ、振り返って「あぁこんなに大きな震災を経験したんだな」ということが実感として持てるようになりました。

実は、震災当日に保育所に迎えに来たおばあちゃんと3歳のお子さんが、帰宅後に津波に遭われて亡くなってしまいました。毎年、3月11日の14時46分にはお墓参りに行って手を合わせています。今ごろ本当は高校を卒業する頃だったなと・・・思いを馳せたりします。震災では色々なことがありましたが、スターリィマンさん達と出会えて本当によかったと思っています。

スターリィマンから受け取った風船、私が届けたい風船

スターリィマンから受け取った風船は「愛」と「幸せ」です。
9つ全部の風船をもらいましたが、特に大きな愛と幸せの風船をいただきました。いつも作品を観るとあったかい気持ちにさせていただきました。

これからは、周りの方達、特に大人達に、「愛」の風船を届けていきたいと思っています。
大人が笑って元気でいれば、自然とこども達は笑顔になれます。逆に大人の人達に元気がないと、こども達も元気でなくなってしまいます。9つすべての風船を届けるには、まずは「愛」が大事だと思います。私が今できることで皆さんに愛の風船を届けられたらと思っています。

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