そろそろ本格的な冬を迎える頃。スターリィマンは、宮城県石巻市の万石浦に架かる万石橋で、 一羽のカモメに出会いました。
カモメは遠くを見つめながら、スターリィマンに語り始めました。
「あの震災の日。私はここから大津波がどんどん迫ってくるのをずっと見ていたの。幸いこの橋のおかげで、石巻の沖合からの津波はせき止められたんだけど、女川方面からの津波が襲ってきて……もうだめだと思った。本当に恐かったわ。
ここ万石浦はね、世界で初めて種がきの養殖を行ったとても有名な場所なのよ。ずっと前に、フランスのかきが全滅しそうになった時があって、その時、万石浦のかきを贈ったんだって。それでね、その時のことを忘れずにいてくれたフランスの皆さんが、今度は万石浦にかきを贈ってくれたの。だから、震災から半年で、かきの養殖を始めることが出来たのよ。
あとね、400年前に支倉常長という人が伊達のお殿様の使節団として万石浦から、サン・ファン・バウティスタ号に乗って 、メキシコ、スペイン、ローマへと渡航したのよ。すごいでしょう!
虹に寄せるカモメの思い
私は、石巻が大好き。異国の香り溢れるロマンの町だもの。だからこの町の人たちには、どんなに苦しくても夢や憧れを失わずに、力強く生きていてほしいわ」
「そうだね」
すると、二人が見つめる先に、うっすらと虹が架かり始めました。
「見て! 虹だわ! 虹はね、もう悪いことは起こらないって目印なんだって。私たち幸せになれるわよね?」
「大丈夫。あの虹の彼方にはきっと、石巻のみんなの幸せな未来が待っている。信じよう!」
スターリィマンは深くうなずくと、 そっと幸せの風船をカモメに贈りました。
「ありがとう、スターリィマン。私、いつまでも大切にするね。みんなと幸せをつないでいくね。大好きなふるさとのみんなと!」
虹の彼方に飛んで行くカモメを見送ったスターリィマンは、明けてゆく石巻の町を後にしました。
